SIBOとは?

SIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth:小腸内細菌異常増殖、シーボ)とは、本来はあまり細菌のいない小腸で、細菌が異常に増えすぎてしまう病態です。 通常、腸内細菌は大腸に多く存在し、小腸には比較的少数しかいません。小腸は主に栄養の消化吸収を担う場所であるため、細菌の増殖が起こりにくいよう構造的・機能的に保護されています。しかし、何らかの原因で小腸内に細菌が増殖してしまうと、
- 食後の腹部膨満感
- ガスやおならの増加
- 慢性的な下痢や便秘
- 栄養素の吸収不良
といった症状が引き起こされます。
このSIBOがひき起こす不調は、過敏性腸症候群(IBS)の患者さんの症状とよく似ており、実際にIBSの患者さんは、SIBOを合併しているケースが多いことが報告されています。
SIBOの原因は?
食事や運動などの生活習慣、ストレス、薬の内服、手術歴などにより
- 小腸の動きが滞っている
- 胃酸や胆汁の分泌が低下している
- 腸内細菌叢のバランスが乱れている
などの状態が考えられますが、まだ不明なことも多く、今後明らかとなることが期待される病態です。
※SIBOは比較的新しい概念で、2024年にWHOによって正式な疾患として認められていますが、日本では学会による正式な診断基準や治療プロトコルは確立されておらず、保険診療の対象にはなっていません。(2025年現在)
SIBOを調べるための検査

呼気検査(ラクツロース)
当院では、「ラクツロース」と呼ばれる糖を使った呼気検査を行っています。ラクツロースを飲んだ後に時間ごとに息を採取し、呼気中の水素やメタンガスの量を測定することで、小腸での異常な細菌の増殖を調べます。
※SIBOを疑う症状がある場合、まずは大腸内視鏡検査で腸に炎症や腫瘍などの病気がないことを確認する必要があります。大腸内視鏡検査の際に、培養検査により小腸内で異常に増えた細菌の実態を詳しく知ることもできます(日本では保険診療の対象外)
※当院では、内視鏡検査は行っておりませんが、近医への紹介が可能です。
SIBOの治療
食事療法
発酵性の糖質(FODMAP)を含む食品を一時的に控える「低FODMAP食」などを取り入れることで、小腸内ガスの発生を抑え、症状を軽減します。また、腸内環境に影響を与えるアルコールやカフェイン、砂糖、乳製品、小麦製品などを制限することも症状の改善に有効です。
腸内環境の改善
プレバイオティクスやプロバイオティクス、必要に応じて消化酵素の補助などを通じて、腸の働きを整え、再発を防ぐサポートを行います。